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Art works -まさうおのかだは

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愚か者には見えない布で作った服
- The suit made of the cloth that is invisible for the fool -
acrylic and medium on canvas (F6 W318 x T410) 2017



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Invisible Value I
acrylic and medium on canvas
(F3 W220 x T273) 2017



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Invisible Value II
acrylic and medium on canvas
(F4 W242 x T333) 2017



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まさうおのかだは - Mr Hope Tree’s Clown Sheet -
acrylic on digital print
(W105 x T148 /each) 2017


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(展示風景:銀座ギャラリーあづま AZUMA展2017)




古典作品を再解釈して構成するシリーズ。

新釈『はだかのおうさま("The Emperor's New Clothes")』
~「価値」についてのメルヘン的考察~

仕立て屋を名乗る詐欺師が織る布は、大臣にも役人にも王様にも見えない。だがみんな、自分が愚か者だと思われないように、見えるふりをする、大人の見栄を揶揄したアンデルセン童話である(原型はスペイン民話)。
仕立て屋と王さまを「詐欺師と被害者」という関係で読むと、
いつもいたたまれない気持ちになる。

権力構造のなかで、保身のために、NoをYesと言わざるをえない人間の葛藤と選択が、現代の自分の身に降りかかる可能性を考えると、震撼するからだ。

オレオレ詐欺、架空請求詐欺、還付金詐欺、、、
現代の世の中には様々な手口の詐欺が横行している。


以前私は携帯に届く迷惑メールをコレクションしていた。
いつか作品にしてやろうと思って。

1日に100件以上届くそれを、ストーリーごとに仕分け、
シナリオの優劣を勝手に品評し、勝手に表彰する「迷惑メールコンペ」を開催する、という主旨の作品をつくった。


「はだかのおうさま」も、私の表彰に値する劇場型詐欺としてお話が展開される。

このアンデルセンの解釈と再話に対して、
私は、2者の関係を「詐欺師と被害者」ではなく「アーティストとパトロン」に置き換えて再解釈を試みたい。

人は、目に見えるもののみに価値を置きがちだ。
一見シンプルにみえるものの制作過程において
膨大な手間や創意工夫、技術習得のための時間がかかっていることについては、
それが可視化されない限り、人は意識しない。


「今までにないすばらしい服です。新しすぎて、愚かな者にはその価値が分かりません」

“愚か者には見えない布で作った服を着る”という行為は、
アーティストのコンセプトに価値を見出し、将来性への投資という意味で出資し、
制作過程から公開し“付加価値”という衣裳を着てパレードをすることで民衆を啓発しようとする、
一種のパフォーマンスアートとして捉えなおすことができるのではないか。


時代を先取りしたものはなかなか人に理解されない。
現代の価値基準に当てはまらない場合、
未来の価値を先取りしたものなのか、
後にも先にも価値のないものなのか、
価値基準をもたない人は逡巡する。


王様は、裸だ。物理的には何も着ていない。
しかし、必要な条件がととのったとき、鑑賞者は、目には見えない付加価値を認知し、それについて再考を促される。


↓続・まさうおのかだは↓




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by maki-kaneko | 2017-02-13 19:08 | File4-Art works

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